banner

 

ブリーダーと愛犬家の違い

「愛犬家」とは、犬を飼う「責任」や人と犬の在り方までもすべて呑み込んで犬と理想的な信頼関係を築くことができる人のことです。ただ「犬が飼いたい」というのでは子どもと同じです。犬は長ければ20年以上も生きます。それは一人の「ヒト」が生まれてから成人するまでの長さに等しいのです。その長い間、ずっと面倒をみなければいけません。ただ可愛いがるだけではなく、その「生」をまっとうできるようにずっと見届ける必要があるのです。犬には流行もなにも関係ありません「人気の犬種」などは関係ありません。ただ、その家族の一員になって生き続けるのです。その「家族」という「群れ」の中でただ生きていくしかないのです。

その中で愛犬にとって、そして取り巻く環境にとって何が理想的な「飼い主」なのか。それは住んでいる地域や境遇によっても違うでしょう。ですが犬は自分の主人を信じるしかありません。犬は自分の境遇を他の犬と比べたりはしません。「隣のご主人の方がいいぞ」などとは間違っても考えません。犬にとっては「今そこにいること」、そして「その群れの一員であること」がすべてなのです。
愛犬家はそんな犬を天寿をまっとうするまで育て上げる人のことです。生きていますから、さまざまな病気にかかったり、ときには怪我をしたりもするでしょう。そのようなことを乗り越える10数年間、20余年間は、その愛犬がそこにいることが「当たり前」だと感じるでしょう。ですが、時の流れは確実に犬と人では違います。それに気がつくのは最後の最後の瞬間です。

「ブリーダー」はそのような愛犬家と犬を結びつけるためには欠かせない職業です。シンプルに表現すれば、それは犬を繁殖させて売買することです。ブリーダーの世界では犬種の「流行」は関係します。愛犬家と最愛の一匹を結びつけるためには、「いま求められている犬種」を意識せずにはいられないのです。愛犬家にとっては、愛犬とめぐり合う唯一の瞬間でも、ブリーダーにとってはその瞬間のために犬を供給することが「日常」です。その瞬間を愛犬家にとって素晴らしい瞬間にするために、常に健康で丈夫な犬を供給しなければいけないのです。

それは「一匹」の愛犬を育て上げ、生涯の面倒を見る愛犬かとは180度対照的です。「繁殖」ということは簡単なことではなく、常に健康的な個体を生み出すのは大変なことです。そして、さまざまな努力で生まれたそれぞれの個体はやがてそれぞれの主のもとに引き取られていくことになります。その瞬間のために、ブリーダーは犬を繁殖させているのです。

ですが犬は「ただの商品」にはなりません。その先の20年間、引き取り先の家族として、さまざまなことを経験していくのです。その先の20年間、ブリーダーの送り出した犬はさまざまな人と出会い、さまざまなことを出来事を経て、「家族」としてその引き取り先と暮らしていきます。ブリーダーはその20年間がイメージできなければいけません。どのように犬を育て、どのように接していくか。どのように看取るのか。その20年間が意識できなければいけません。たくさんの犬をたくさんの飼い主の元に送り出すでしょう。その先にあるそれぞれの暮らしをイメージできるからこそ、「元気で丈夫な犬を」という気持ちになれるのです。

Copyright(c) 2012 ブリーダーとは All Rights Reserved.