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ブリーダーと犬は真剣勝負

ブリーダーは仔犬を増やすことだけが仕事ではありません。犬を繁殖させるためには、しっかりと犬を育てる必要があります。父親や母親になる犬がいない限りは、仔犬は誕生しないのですから、プリーダーは犬の状態に対してすべてを把握しておく必要があるのです。犬は丈夫な動物です。多少の体調不良や怪我などはものともしない生命力があります。ある程度普通に育てれば、たくましい犬になります。妊娠しても普通にエサを与えていれば、仔犬を産みます。ですが、各家庭のように普通に育てているようであれば、それは本当の「ブリーダー」とはいえないのです。

ブリーダーの主な役割として、犬の繁殖があります。血統のあるなしに関わらず、犬を繁殖させてショップや飼い主に引き渡すのです。三流のブリーダーは「ある程度」の世話をしていますから、ある程度の犬がたくさん生まれてしまうものです。「ある程度」というのは「普通に生まれた」ということです。そのような犬は実はたくさん出まわっています。一般的なペットショップなどにいる仔犬もそうであるかもしれません。仔犬を求める私たちは専門家ではありませんから、それらの見分けがつきません。そして、そのような仔犬も大部分は丈夫に、立派に育ちます。

一番良くないケースは、その仔犬が「普通近親交配」を重ねて生まれたケースです。そのような個体は遺伝子的にリスクがある場合があります。仔犬の頃にはわからないのですが、成長するにつれ、体のどこかが具合がわるかったり、病気にかかりやすかったりするのです。

「動物」には不良品はありません。1頭1頭に「個性」があり、1頭1頭にそれぞれの魅力があります。そのような命を育むブリーダーですから、「手を抜く」というようなことはあってはいけません。犬は「返品」や「交換」はきかないものです。そして、そのようなことは行なってはいけません。一度家族に迎えれば、天寿をまっとうするまで面倒をみる「責任」があります。

そのようなことをしっかりとわかっていれば、近親交配などはありえないことですし、すべての個体、すべての仔犬に対してベストな手間をかけるのが「プロ」のブリーダーです。「計算」ではいい犬は生まれないものです。1頭1頭の「個性」に合わせた育て方が必要です。何がその個体の精神状態、そして健康状態を左右するかわからないものですから、時には「セオリー」だけでは解決しないこともあるでしょう。そのようなことすべてに対して対処するのが本当の「ブリーダー」です。すべての犬にベストな調整をかけることが、ブリーダーの仕事です。栄養だけではなく、運動だけでもなく、その環境すべてに対して責任を持ち、それぞれを「ベスト」な個体に育て上げるためには、気を抜いてはいけないのがブリーダーなのです。

ただ繁殖させて増やすだけなら、個人でも出来るのです。そうではなく、その仔犬の将来を見据えて丈夫に育てることができて、はじめて本物のブリーダーといえるようになるのです。そのためには、「知識」はもちろん、すべての個体の状態を汲み取れる洞察眼や何よりも「経験」が必要でしょう。そのようなブリーダーに育てられた犬も、三流のブリーダーに育てられた犬も、同じ生命であることにはかわりなく、譲り受けた飼い主にとってはかけがいのない愛犬なのです。そう考えると、犬に対して手を抜くなどということはかんがえられないでしょう。

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