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子犬の頃に怖い目にあったら

子どもの頃は、「怖いこと」はたくさんあります。「未知」であるだけでなんでも恐ろしく感じてしまうのは、人間でも犬でも変わりません。そして、それらの恐怖は「知る」ことで解決されることもあれば、トラウマのようにずっと苦手になることもあります。人間であれば「理屈」でわかれば「なんでもなかったんだな」とあとからわかるものですが、犬は私たちの「理屈」を理解しません。犬の理解は常に「実感」と共にあります。なにを苦手になってしまうかということもさることながら、「どう克服するか」ということはとても難しい課題です。

実際の例としては例えば道路にある「側溝」についている金属製のフタが怖いという犬がいました。それは水を流すために細かいスリットがたくさんついていたのですが、それが怖いようでした。足を踏み出してみれば普通に歩けることがわかるはずなのですが、その一歩がどうしても踏み出せないようでした。飼い主は「そのうちわかるだろう」とふんでいたものですが、その犬は「大人」、つまり成犬になってもその側溝が怖いままでした。

犬はとても知能の高い動物です。その知能は仔犬の頃の怖い体験をそのままおぼえていられるほどのものです。そのような怖い体験はなにかのかたちで「実感」させてやらないと、ずっとその犬の中では「禁忌」になってしまうものなのでしょう。それは「大丈夫だった」という成功体験によってのみ、克服されるものです。

仔犬のころになにか「嫌な思い」、「怖い体験」をしてしまうと、犬の「防衛本能」でそれらを回避しようとするのです。実はそれは成犬になってからも起こりうることなのですが、仔犬のころは体躯がまだ未発達ですから、「怖い」と感じることも多いのです。そのような「まだ体が小さいから」怖いことは、成長するつれ徐々に体験させてあげればいいでしょう。例えば仔犬には階段の昇り降りは無理です。それは成犬なれば身体的にはどうということはないはずなのですが、成犬になっていきなり階段を目の前にしてもすぐには昇降できません。特に「階段を降りる」ということは犬にとっては熟れるまで大変なことであるようです。

日常の何気無いところに犬の「苦手」が潜んでいます。たとえば「水」が怖いという犬はたくさんいます。水浴びは仔犬の頃からら克服できるものですが、それを経由せず、成犬になってもまたせ水が嫌だという犬は案外多いものです。そのような犬は体をあらってやろうとするたびに嫌がり、あばれてしまうものです。水は特にその犬になんの危害も与えないのですが、ずっと嫌いなままになってしまうという典型です。

逆に仔犬の頃の「成功体験」はずっと得意分野として生き続けるものです。すべてのことに対してパーフェクトにこなせる犬などはいませんから、それはそれでいいのではないでしょうか。それらの好き嫌いも含めて「個性」と考えることもできます。生きていく上で、暮らしていくうえで特に問題にならない好き嫌いであれば、ある程度は寛容してあげるようにしましょう。それが生活に必要なこと、欠かせないことであれば、仔犬のころから徐々にならしてあげるのがいいでしょう。そうすれば、成犬になるころには克服していることが多いです。

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