banner

 

「散歩」の大切さ

犬は「縄張り」を意識する動物です。縄張りは自己と他者の認識があってはじめて成立するものです。そして自分が周回するルート、関わるエリアも認識しています。自分の行動範囲、つまり散歩のルートは縄張りにはなりません。それは他の犬も通っているかもしれないからです。そして、それら「他の犬」を認識するための手段が「臭い」です。犬の最大の特徴として嗅覚が挙げられます。そして犬には固有の臭いがあり、それを嗅ぎ分けることで他の犬を認識します。

散歩の途中で頻繁に臭いを嗅ぐのは、自分の行動範囲と他者の行動範囲を確認しているからだともいえます。犬は自分の行動エリアに、他に存在する犬がどれだけいるのかということを認識することができるのです。散歩しているとわかりますが、犬はいつも同じ場所で用を足します。それは「その場所」を臭いでわかっているからです。「その場所は自分で使う」ということが自分でも、他の犬にもわかっているのです。

犬にとっての「散歩」とは、同じ地域に住む他の犬たちとのコミュニケーションのようなものです。散歩を通じて、そこに残された臭いを通じて、他にどのような犬がいるということをわかっているのです。

「犬といえば散歩」と連想する方も多いのですが、犬にとっての散歩は動物、生き物としても重要なことです。犬はやはり動物です。高い身体能力を持っています。潜在的に「走る」という欲求があります。走った際には喜びを感じるものです。普通に人間と暮らすだけでは犬にとって十分な運動量を確保することは難しいものです。そして、運動不足は犬にとってストレスになります。やはり庭で鎖につながれているだけでは種としては不満足なのです。犬を犬らしく生かすためには、なによりもこの「散歩」が重要です。

犬を飼えばわかるのですが、どんな犬でも散歩が大好きです。いつも散歩に行っている時間になるとそわそわします。散歩用の紐を見せるだけで、「散歩だ」ということを察して大はしゃぎするものなのです。「犬を飼えば散歩」ということは、動物の本能を見失わないようにするための、また抑えられない活動に対する欲求を満たすための行為といえるでしょう。

よく聞く話ですが、「犬を飼う際の面倒の一つが散歩だ」という方がいます。そして何日も散歩に連れて行かないような方もいます。しかしそれではあまりにも犬の本能や欲求に反することであり、犬にとってはストレスになってしまいます。若い成犬は、中型犬でも鎖を引きちぎるほどの力を発揮するものです。あまりにも散歩に行かなかったりすれば、犬は本能から自ら鎖を引きちぎって自力で散歩にでてしまうでしょう。ですが、人間の暮らす土地は犬に対しては危険もたくさんあります。車が走っていたり、踏切があったり、それらの危険を犬は認識できません。ですから、人間がしっかりと紐を握って、それらの危険から守ってやる必要があるのです。鎖をから放し、単独で散歩に出すようなことは暴挙です。

犬を飼う以上は、しっかりと散歩してあげることが犬に対して最低限の配慮です。飼い主の責任、といってもいいでしょう。それができないようであれば、残念ながら犬を飼う資格はないのです。

Copyright(c) 2012 ブリーダーとは All Rights Reserved.